2013年9月4日水曜日

ここは箱の外側か、内側か。【極限脱出ADV 善人シボウデス】

と、言うわけで先日書いたとおり,
今日はシボウデスについての記事です。



Vita版はこちら

率直な感想を言うと、すごく面白かったけど最後の最後が残念。でした。

というか、実際は途中までも色々と戸惑ってました。前作である9時間9人9の扉(以下、999)と、あまりに雰囲気が違うのです。世界観、と言ってもいいでしょう。
「ええー…そういうのアリなの?萎えるなあ…」とか、前作のキャラへの後付け的な設定も出て来て、もにゃもにゃとしていました。
まず、前作はツッコミどころもあるものの、割とリアリティのある世界観というか、世界設定の中に突飛なものが見えなかった、割と現実と地続きな印象だったのに対し、今作はものすごく現実離れしています。現実感が薄いと言ってもいいかもしれません。なので、今作で出て来た設定を、前作の世界に当てはめるのに、どうにも抵抗を感じたのです。

現実感が薄い、と書きましたが、前作が割と人の温度が感じられる雰囲気であるのに対して、今作は非常に無機質です。前作が木造なら、今作は鉄。色でいえば暖色と寒色。特に象徴的なのが、ペナルティの在り方。前作では、爆弾で爆発してバラバラになるという何とも生々しい死を見せつけられましたが、今作では薬剤の注射による死と、随分緩やかになっています。そこに感じる無機質さ。ここまで対照的だと、これは意図的にやってるんだろうな…と感じられます。
そして、もうひとつが、話の規模。
前作が非常に個人的な物語だとしたら、今作はその逆です。前作のまとまり方が好きだったので、「そんな大それた話をしちゃうの?!それが999と地続きって……やだー!」みたいになりました(駄々っ子)。

そんなこんなで前作とは色々対照的なので、前作を引きずりすぎると戸惑ってしまうと思いますし、もやもやした感じを抱えてしまうかもしれません。
ならば、前作をやらなくてもいいかというとそんなこともなく、今作を最大限楽しむには前作プレイは必須でしょう。その上、前作の重大なネタバレも今作には含まれています。
「それってどうなん?」って感じもありますが…しかし…しかし!!!!
このゲームはめちゃくちゃ面白いです!!!
取り敢えず、999のことは、あれはあれでひとつの完結した物語として捉え、この話は「続編」ではなく、また別の、999の道の延長線上に描かれた新しい物語として捉えると、これが非常に面白いんです。 途中からどんどん何もわからなかった点と点がどんどんと別の選択を選ぶことにより繋がって行く感じは非常にエキサイティングです。ワクワクします。息を呑みます。
少しずつ謎が剥がれて行く感じ、伏線の貼り方は本当に面白い。また、量子論の話なども出てくるのですが、これがまた面白い形で話に絡んで来ます。
ものすごくじーんと来る展開もあればゾッとする展開もあり…本当によくできてます。
全ての謎が明かされて行くのにはもう、うおおおおって感じでした。

ただし!
ただし!!
ただしくんは関係ありません!!!
…ただし、冒頭にも書いた通り、最後の本当に最後が残念過ぎます…
この物語としては完結しているのですが、新たな物語の先端を見せられて、そこで終わってしまうのです…
つまり、「続編を待て!」……と……それも売り上げ次第らしい、と……
この、この、このおおおおお!!!
この叫びたくなる感じ!きっと!多くの人が味わっているはず!!
なので、プレイ後感は、あんまりすっきりしないです…(:3 ∠)_ この点では前作の方がスッキリ終わってた気がしますね。(前作でもモヤモヤする人もいるそうですが…個人的な印象です)

システム面は概ね良好。前作についての記事で、チャートつけて欲しい!と書きましたが、それがしっかり実装されてます。
自分がプレイしたのは3DS版ですが、メモ画面も中々便利。上画面でメモや手がかりを見ながら仕掛けを解けるのは非常にありがたかったです。
と、メモがついてはいますが、それとは別にメモ帳必須です。(自分はiPadのノートアプリを使いました)重要な情報をメモする必要があることと、話が様々に分岐し、それらを最終的には全て通っていかなければならないため、今自分がどのルートを通っているか把握するためにも、メモがあった方がわかりやすいからです。

エンディングごとに、何回も見ることになるスタッフロールが飛ばせません。Vita版だと一回見たあとは飛ばせるそうなのですが…どうしてそうなった… 流れる曲が結構良いのが救いです。

グラフィックに関してですが、個人的には前作同様2Dの立ち絵が良かったなー、と思います。非常に味のある絵だったので…イベントシーンも、3Dより手描きの絵のもの(いくつかあります)の方が良かったなあ、と。

脱出パートの難易度は前作よりも上がっています。何度か攻略を見てしまいました…。パズルも頭を捻るものが多く、終盤になるにつれややこしくなって行きます。なので、結構な歯応えが楽しめると思います。それぞれのルートで同じ場所を繰り返し探索することがないので、それも良ポイントですね。また、一度クリアすれば、脱出用のパスを入力するだけで楽に通過できます。(難易度をEASYにしてクリアした場合、あとからHARDでクリアし直す時に便利です。難易度は、アーカイブのSECRETや、最後の最後のエンディングを見るのに関係して来ます。)

プレイ時間は約40時間。前作が全エンディング見ても10〜15時間程度だったことを考えるとボリュームは大幅に増えていますね。やりごたえは十分です。
等々、色々と書きましたが、めちゃくちゃ面白いのは事実です。色々もったいなさもあるものの、ものすごく楽しませてもらいました。良いゲームです。色んなことにはこの際目をつむろう!

…それだけの魅力がつまったゲームです。興味を持たれた方は、999と一緒に、是非。

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